大学職員の採用試験では、現在の大学で実施されている取組や施策への理解度が高いほうが、志望動機やエントリーシートの内容が充実したり、面接試験でも対応しやすくなります。
また、面接試験においては、「最近、大学関連で気になったニュースはありますか」という質問など、直接的に大学のニュースに関する質問があったり、「本学で魅力的に感じる取組はありましたか」「本学でどのような取組に関わりたいですか」など、大学に関するニュースを理解しておくことで対応しやすくなるような質問があります。
そこで、この記事では、十文字学園女子大学に関するここ数年のニュースを調べ、それぞれのニュースに記載のある取組の概要と、採用する側の視点からのコメントを付けてまとめました。
この記事は十文字学園女子大学のニュースをまとめておりますが、十文字学園女子大学の職員採用試験を受験する方だけでなく、大学職員を目指す人の大学業界の理解を深めることのできる内容としております。
この記事の内容
- 十文字学園女子大学とはどのような大学か
- 第1章 2027年度改組と大学運営の新体制(5件)
- (1)2027年度に5学部9学科へ改組、「第4次教育体制改革」を推進(経営企画部・企画IR課)
- (2)第6代学長に社会情報デザイン学部の安達一寿教授が就任(総務部・総務課)
- (3)料理研究家・土井善晴氏が副学長に就任(総務部・総務課)
- (4)短期大学開学60周年・大学開学30周年記念事業として1号棟をリニューアル(総務部・施設課)
- (5)短期大学開学60周年・大学開学30周年記念教育整備募金を開始(総務部)
- 第2章 「食」を軸にした産学連携と商品開発(5件)
- (1)新座クラフトと共同開発したクラフトビール第2弾「BELLUME〜香苺〜」が完成(食品開発学科)
- (2)田中製茶園・ユーファームと共同開発した「あまりん紅茶」が2つの賞を受賞(食品開発学科)
- (3)よみうりランドと産学連携し、規格外の苺・未活用のみかんでバレンタイン限定メニューを開発(食品開発学科)
- (4)オリジナル商品「プラスちゃんナッツ」がNewDays新座で販売開始(食物栄養学科)
- (5)「福みかん」を使用した新商品「フォーチュンミルクモナカ」が完成(食品開発学科)
- 第3章 自治体・地域との連携の広がり(4件)
- (1)練馬区と連携・協力に関する包括協定を締結(社会連携推進センター)
- (2)大田区と地域福祉の推進に関する連携・協力協定を締結(社会連携推進センター)
- (3)富士見市と包括連携協定を締結(社会連携推進センター)
- (4)社会連携センター「ここプラス」を開設し、記念講演会を開催(社会連携推進センター)
- 第4章 教育の質保証と学修・学生支援(4件)
- (1)生成AI利用ガイドラインを策定・公表(教務部)
- (2)ジブラルタ生命保険と連携した金融教育講座を新設(キャリア支援部・教務部)
- (3)オルビス株式会社の体験講座を実施(キャリア支援部)
- (4)障がい学生支援に関する座談会記事が教育学術新聞に掲載(学生総合相談センター)
- 第5章 高大接続とキャリア・資格支援(4件)
- (1)駒場学園高等学校と高大連携に関する協定を締結(高大産学連携推進室)
- (2)高大連携「食の未来を創る」プロジェクトの報告会を実施(高大産学連携推進室)
- (3)人間福祉学科で公務員試験の延べ合格件数が50件に到達(人間福祉学科・学修支援センター)
- (4)健康運動指導士認定試験で合格率76.9%を達成(健康栄養学科)
- 第6章 国際交流と留学生支援(4件)
- (1)台湾の實踐大學と教育・研究分野における協力協定を締結(国際交流センター)
- (2)社会福祉法人と外国人介護留学生への連携・協力事業の覚書を締結(人間福祉学科)
- (3)留学生対応に音声可視化ディスプレイ「VUEVO Display」を試行導入(国際交流センター)
- (4)外国にルーツをもつ子どものためのサマーキャンプ開催を発表(国際交流センター)
- 第7章 スポーツ振興と研究成果の社会発信(4件)
- (1)サッカー部の2名がWEリーグ・アルビレックス新潟レディースに加入内定(カレッジスポーツセンター)
- (2)埼玉西武ライオンズ・新座市・TJUPと共催で親子野球体験イベントを開催(カレッジスポーツセンター)
- (3)日本食品開発学会の第1回学術研究会を学内で開催(食品開発学科)
- (4)「ブランコこぎのコツ」に関する論文が米国の専門誌に掲載(社会情報デザイン学科・情報センター)
- まとめ:十文字学園女子大学の動きをどう読むか
十文字学園女子大学とはどのような大学か
大学の基本情報
表1 基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 十文字学園女子大学(設置者:学校法人十文字学園) |
| 起源・開学 | 1922(大正11)年に東京・巣鴨で文華高等女学校を開校(設立者:十文字こと、戸野みちゑ、斯波安)。1966(昭和41)年に十文字学園女子短期大学を開学し、1996(平成8)年に十文字学園女子大学を開学 |
| 学部 | 3学部9学科(人間生活学部・教育人文学部・社会情報デザイン学部) ※2027年4月に5学部9学科へ改組予定 |
| 大学院 | 人間生活学研究科 食物栄養学専攻(修士課程・博士後期課程)。ほかに留学生別科を設置 |
| 理事長/学長 | 理事長:十文字佑子/学長:安達一寿(第6代・2025年4月就任) |
| 在学生数 | 2,169名(うち学部2,139名、大学院9名、留学生別科21名) ※2026年5月1日現在 |
| 入学定員(学部) | 760名(ほかに編入学定員20名) ※2026年5月1日現在 |
| 収容定員(学部) | 3,240名(収容定員充足率66%) ※2026年5月1日現在 |
| 専任教員数 | 119名 ※2026年5月1日現在 |
| 職員数 | 専任職員59名 ※2026年5月1日現在 |
| 外国人留学生数 | 61名(学士40名、大学院1名、留学生別科18名、科目等履修生等2名) ※2026年5月1日現在 |
| 卒業生総数 | 41,775名(大学院・大学・短期大学の合計) ※2026年3月31日現在 |
表2 キャンパス
| キャンパス | 所在地 | 設置学部 |
|---|---|---|
| 新座キャンパス | 埼玉県新座市菅沢2-1-28 | 人間生活学部・教育人文学部・社会情報デザイン学部(全学年)、大学院、留学生別科 |
※十文字学園女子大学のキャンパスは1か所のみで、校地面積85,225平方メートル、校舎面積35,243平方メートルです。同じ敷地内に十文字女子大附属幼稚園があります。
表3 直近3年の入学定員充足率(学部)
| 年度 | 入学定員 | 入学者数 | 入学定員充足率 |
|---|---|---|---|
| 2024年度 | 760名 | 515名 | 67.8% |
| 2025年度 | 760名 | 513名 | 67.5% |
| 2026年度 | 760名 | 467名 | 61.4% |
※入学者数は各年度の「大学概要」に掲載された都道府県別入学者数の合計で、3年次編入生を含みません。充足率は入学者数を入学定員で割って算出した参考値です。
文華高等女学校から始まった十文字学園の歩み
十文字学園女子大学の出発点は、1922(大正11)年に東京・巣鴨で開校した文華高等女学校です。創立者の十文字ことは、東京女子高等師範学校時代の友人とともに、教育を受けたいと願う女性が一人でも多く学べる私立学校をつくりたいという考えから学校を設立しました。建学の精神は学園歌の「身をきたへ 心きたへて 世の中に たちてかひある 人と生きなむ」に込められており、大学のアドミッション・ポリシーにも、この精神に賛同する学生を求めることが明記されています。
戦後の1951(昭和26)年に学校法人十文字学園へ組織変更し、1966(昭和41)年に埼玉県新座市で十文字学園女子短期大学を開学しました。当初は家政科と幼児教育科の2学科で、その後、初等教育、国文、英文、教養などへ学科を広げています。4年制大学である十文字学園女子大学が開学したのは1996(平成8)年で、社会情報学部社会情報学科の1学部1学科からのスタートでした。
その後、2002(平成14)年の人間生活学部設置、2011(平成23)年の人間生活学部再編を経て、2020(令和2)年に現在の3学部9学科体制へ移行しています。短期大学部は2018(平成30)年に廃止され、現在は4年制大学と大学院、留学生別科に教育資源を集約しています。2022(令和4)年には学園創立100周年を迎え、2026年には短期大学開学60周年と大学開学30周年が重なりました。
3学部9学科と大学院の構成
人間生活学部は「食・栄養・運動・福祉」を教育研究の中核に置き、健康栄養学科、食物栄養学科、食品開発学科、人間福祉学科の4学科で構成されています。管理栄養士、栄養士、社会福祉士、介護福祉士、保育士といった資格に直結する学科が並び、大学が掲げる「健幸」(健康と幸福を合わせた造語)を支える人材の養成を掲げています。人間福祉学科には社会福祉・保育コースと社会福祉・介護福祉コースの2コースが置かれています。
教育人文学部は、幼児教育学科、児童教育学科、心理学科、文芸文化学科の4学科です。幼稚園教諭、小学校教諭、特別支援学校教諭、養護教諭、中学校・高等学校教諭(国語・英語・保健など)と、教員免許状の取得に対応した学科が集まっており、公認心理師の受験資格要件に対応した科目も心理学科に置かれています。社会情報デザイン学部は社会情報デザイン学科の1学科で、データサイエンス、社会学、経営マーケティングを横断して学ぶ構成です。
大学院は人間生活学研究科食物栄養学専攻のみで、修士課程と博士後期課程が設置されています。ベトナムのハノイ医科大学や国立栄養研究所などと学術交流・留学生受入の協定を結んでおり、規模は小さいものの国際的な連携をもつ研究科です。このほか、日本の大学への留学を希望する海外の学生に日本語教育を行う留学生別科があります。
受験生に向けて打ち出しているもの
受験生向けに前面に出しているのは、資格・免許と結びついた学びと、そこから続く就職の強さです。2025年度の学部全体の就職率は99.1%で、人間生活学部が99.7%、教育人文学部が98.3%、社会情報デザイン学部が100%となっています。人間福祉学科は卒業生の75.9%が福祉専門職に進み、そのうち34.1%が公務員です。児童教育学科は小学校教諭48.8%、特別支援学校教諭30.2%と、教職への進路が明確です。
もう一つの軸が、少人数・担任制のきめ細かさです。クラス担任制度を敷き、ゼミや演習も少人数で行うこと、就職支援課が学年や時期を問わず個別に相談に応じることを、受験生向けの説明で繰り返し打ち出しています。学修支援センターでは入学前学習、基礎学力の補充、公務員試験や教員採用選考の対策までを一続きで支援しており、入学前から卒業後までを支える体制であることを強調しています。
2027年度の改組にあたっては、「信頼が私たちを強くする。2027年4月より、5学部9学科体制にアップグレード!」というメッセージを掲げ、ライフサポートプログラム「ことサポ」、6分野の副専攻制度、地域や企業と協働するプラスキャンパス・プロジェクトを新しい売りとして提示しています。学部の数を増やすことよりも、教育の中身を変えることに重点を置いた打ち出しになっている点が特徴です。
新座駅から徒歩8分の単一キャンパス
キャンパスは埼玉県新座市菅沢にあり、JR武蔵野線の新座駅南口から徒歩8分です。池袋まで約26分、大宮まで約26分、新宿まで約40分という位置にあり、東武東上線の朝霞台駅や西武池袋線の秋津駅からも武蔵野線でつながっています。埼玉県内の高校出身者が入学者の58.7%を占め、東京都と合わせるとその大半になる、埼玉県南西部と東京都北西部を中心とした地元密着型の学生構成です。
敷地内には1号棟から9号館までの校舎のほか、人工芝のサッカーグラウンド、テニスコート、ゴルフ練習場、「十文字の森」と呼ばれる雑木林と散策路があります。この森は公開講座や附属幼稚園、近隣保育園の子どもたちの活動の場としても使われており、地域に開かれた資源として位置づけられています。
2025年度には、短期大学開学60周年と大学開学30周年の記念事業として1号棟Aのリニューアルを実施し、社会連携センター「ここプラス」を開設しました。交流エリアと共創エリアからなるスペースで、学生の憩いと交流の場であると同時に、地域や企業との接点をつくる拠点と位置づけられています。単一キャンパスであることを生かし、限られた床面積を用途転換していく形の整備が続いています。
教育・学生生活の特色
教育面では、全学必修の「はじめてのデータサイエンス」が置かれている点が目を引きます。この教育プログラムは文部科学省の「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)」に認定されており、認定の有効期限は2028年3月31日までです。フルオンデマンド型で運用されており、女子大学として文系学生を含む全員にデータサイエンスの基礎を課す設計になっています。
共通科目のうち「総合科目」では、学外の企業や団体の協力を得たテーマが毎年度開講されています。2026年度は16のテーマが予定されており、土井善晴副学長が担当する「食の美学」、野村證券が協力する「金融リテラシー」、ちふれホールディングスが協力する「ちふれと考えるわたしらしさ」などが並びます。企業との連携が単発のイベントではなく、正課の科目として組み込まれている点が特徴です。
学生生活の面では、学生表彰制度と「十文字プラスワン学生プロジェクト」が用意されています。後者は学生からプロジェクトを公募し、採択された活動に1件あたり上限10万円の活動費を支給する仕組みです。保証人の会である武蔵野会による「武蔵野会賞」もあり、学生時代にしかできない創造的な取組を表彰しています。マスコットキャラクター「プラスちゃん」を学生が地域イベントで活用する活動も継続しています。
著名な卒業生・卒業生ネットワーク
十文字学園女子大学は、著名人の名前を前面に出す広報をほとんど行っていません。短期大学を含めた卒業生総数は2026年3月末時点で41,775名にのぼりますが、大学として公表しているのは、栄養士・管理栄養士、保育士、幼稚園教諭、小学校教諭、特別支援学校教諭、養護教諭、社会福祉士といった専門職として各地で働く卒業生の姿です。同窓会は「若桐会」という名称で、総会や在学生向けの支援活動を行っています。
大学公式サイトには、栄養・福祉・教育などの現場で働く卒業生へのインタビューが掲載されています。若桐会による在学生支援と、大学による卒業後のキャリア紹介を通じて、卒業生とのつながりを学内支援と社会発信の両面に生かしている点が特徴です。
この記事の構成
この記事では、十文字学園女子大学のニュース30件を7章に整理しました。内訳は、第1章「2027年度改組と大学運営の新体制」5件、第2章「『食』を軸にした産学連携と商品開発」5件、第3章「自治体・地域との連携の広がり」4件、第4章「教育の質保証と学修・学生支援」4件、第5章「高大接続とキャリア・資格支援」4件、第6章「国際交流と留学生支援」4件、第7章「スポーツ振興と研究成果の社会発信」4件です。各ニュースには実施部局、発信日、確認済みの出典リンクを付けています。
各ニュースの「取組の概要」は原則3段落、「取組に対するコメント」は2~3段落です。コメントでは、取組の注目点、大学運営上の意味または実務上の課題、職員としての関わり方を、ニュース固有の内容に即して整理しています。
第1章から順に読むと、2027年度改組を起点に、食の産学連携、地域連携、学修支援、高大接続、国際交流、スポーツ・研究発信まで、大学運営の全体像を追えます。関心のある業務分野が明確な場合は、目次から該当章・ニュースへ直接進めます。
第1章 2027年度改組と大学運営の新体制(5件)
十文字学園女子大学の直近3年でもっとも大きな動きは、2027年度の学部改組と、それを進める新しい運営体制の確立です。第6代学長の就任、料理研究家の土井善晴氏の副学長就任、短期大学開学60周年・大学開学30周年に合わせた施設整備と募金活動が、いずれも改組の準備期間に重なっています。この章では、大学の将来構想と経営基盤にかかわる5件を取り上げます。
(1)2027年度に5学部9学科へ改組、「第4次教育体制改革」を推進(経営企画部・企画IR課)
- 実施部局:経営企画部・企画IR課
- 発信日:2026年4月16日(2026年7月27日更新)
- 出典:十文字学園女子大学 公式サイト
取組の概要
十文字学園女子大学は、2027(令和9)年4月に教育人文学部を分割し、教育学部、心理学部、文学部の3学部を新設します。これにより、現在の3学部9学科から5学部9学科へ移行します。教育学部は幼児教育学科と児童教育学科、心理学部は心理学科、文学部は文芸文化学科で構成され、社会情報デザイン学部と人間生活学部は現行のまま維持されます。学部・学科の名称は変更となる可能性があると大学は注記しています。
注目すべきは、当初の計画からの変更があった点です。大学はもともと、社会情報デザイン学部を現代社会学部に、人間生活学部を食健康科学部に改組・再編することも予定して公表していましたが、2026年7月の更新でこの2学部については現行体制を維持すると方針を変えました。理由として、組織の名称変更にとどまらず教育の質を実質的に高めることを最優先とし、現在の組織がもつ専門的基盤を維持したうえで教育プログラムの内容を抜本的に拡充するほうがよいと判断した、と説明しています。
改組後の入学定員は大学合計で523名(編入定員7名)、収容定員は2,106名です。現在の入学定員760名、収容定員3,240名から大幅に縮小することになります。あわせて、入学前から卒業後まで一人ひとりを支えるライフサポートプログラム「ことサポ」の導入、「DX」「食と美と健康」など6つの副専攻分野の設置、地域や企業と協働するプラスキャンパス・プロジェクトの推進、社会連携活動拠点の整備という4つの柱を「第4次教育体制改革」として掲げています。
取組に対するコメント
この改組でまず読み取るべきは、定員を大きく絞り込んでいるという事実だと思います。入学定員を760名から523名へ、収容定員を3,240名から2,106名へ減らす判断は、直近の入学定員充足率が61〜68%で推移している現状を踏まえた、現実的な規模適正化だと読めます。定員を下げれば収容定員充足率は改善し、修学支援新制度の要件や私立大学等経常費補助金の算定上も有利に働きます。学部を増やす話として受け取ると、この改組の本質を取り違えることになります。
運営上の論点は、計画を途中で変更したことへの説明責任です。現代社会学部・食健康科学部という新学部名をいったん公表したうえで撤回しているため、すでに志望を固めていた受験生や高校の進路指導担当者、在学生の保護者に対して、方針が後退したのではないという説明を丁寧に行う必要があります。大学はこれを「緊急のお知らせ」として最上位に掲示し、教育の中身を優先した判断であることを繰り返し述べていますが、この種の説明はWebだけでは届きません。高校訪問や入試説明会での口頭説明、資料の差し替え、Webサイトの全ページ点検といった地道な作業が、募集入試部と広報課に集中します。
職員の役割として、改組を「設置届出の事務」と「募集の立て直し」の両面で捉えておきたいところです。教育人文学部の分割は届出済みとされていますが、学部が3つに分かれれば教授会・学部長・事務所管も分かれ、カリキュラムの認可対応、学則改正、学位記の様式、シラバスや履修規程の書き換え、学生システムの学部コード変更まで作業が波及します。改組に触れるなら、「新学部ができる」ではなく「定員規模を見直しながら、副専攻と全学共通科目で教育の中身を組み替える改革」と説明できると、資料を読み込んでいることが伝わると思います。
(2)第6代学長に社会情報デザイン学部の安達一寿教授が就任(総務部・総務課)
- 実施部局:総務部・総務課
- 発信日:2025年3月14日
- 出典:十文字学園女子大学 公式サイト
取組の概要
十文字学園女子大学は、2025年4月1日付で社会情報デザイン学部の安達一寿教授が第6代学長に就任することを公表しました。前任の志村二三夫学長は2017(平成29)年4月から2025年3月までの8年間にわたって学長を務め、退任にあたって2025年3月3日に最終講義を行っています。安達学長は学長就任前、副学長(教育担当)を務めていました。
2026年度時点の運営体制では、学長のもとに学長補佐1名と6名の副学長が置かれています。副学長は、企画・広報担当、社会連携・研究担当、教育担当、学生支援担当、募集入試担当、就職担当、特命担当(公務員採用)、そして「人を良く担当」という区分で配置され、一部は兼務です。大学院研究科長は学長が兼務しています。理事長は2024(令和6)年4月に就任した十文字佑子氏で、創立者の十文字ことから数えて4代目の理事長にあたります。
事務組織も改編されています。2025年度までは総務部、広報部、財務部、企画評価部という構成でしたが、2026年度には経営企画部(企画IR課・財務課)、総務部、社会連携・広報部(広報課・社会連携推進課・研究支援課)、学術情報部、教務部、学生支援部、募集入試部、キャリア支援部という編成に変わりました。企画部門と財務部門を経営企画部として一体化し、広報と社会連携・研究支援を同じ部に集約した形です。
取組に対するコメント
学長交代そのものよりも、事務組織の組み替え方に大学の意図が表れていると思います。企画評価部と財務部を「経営企画部」として一体化したということは、将来構想の立案と予算編成を同じ部で回すという判断です。定員を大幅に縮小する改組を控えている大学にとって、教学の計画と財政のシミュレーションを分離したままでは意思決定が遅れます。改組の設計と財務の見通しを一つの部で握る体制に変えたと読むのが自然でしょう。
もう一つは、広報課と社会連携推進課、研究支援課を「社会連携・広報部」にまとめた点です。この大学は地域連携と産学連携の件数が非常に多く、その多くが報道に載ることで受験生や地域への発信になっています。連携事業を組成する部署と、それを外に出す部署を同じ部に置けば、事業の企画段階からプレスリリースを前提に設計できます。実際、公式サイトのニュースは新聞・テレビへの掲載報告が大きな比率を占めており、この体制変更は実態に合わせた整理だと考えられます。
役員体制に触れるなら、副学長が6名いて担当が細かく分かれていること、特に「募集入試担当」と「特命担当(公務員採用)」が置かれていることに注目するとよいと思います。学生募集と公務員就職という、この大学がもっとも力を入れている2つの領域に、教員側の責任者を明示的に置いているということです。職員として働く場合、募集入試部やキャリア支援部では担当副学長と直接やり取りする場面が多くなると想像できます。
(3)料理研究家・土井善晴氏が副学長に就任(総務部・総務課)
- 実施部局:総務部・総務課
- 発信日:2024年11月1日
- 出典:十文字学園女子大学 公式サイト
取組の概要
十文字学園女子大学は、2024年11月1日に料理研究家の土井善晴氏の副学長就任を公表しました。土井氏はそれ以前から本学の特別招聘教授として関わっており、公開講座「土井善晴のおいしいものセミナー」を複数回にわたって担当してきました。副学長としての担当区分は「人を良く担当」という独自の名称が付けられています。
就任後、土井氏は正課科目にも関わっています。共通科目の「総合科目」では、2025年度に「和食文化概論」、2026年度に「食の美学」を担当しています。総合科目は、学外の企業や団体の協力を得ながら社会の動向と連動した課題を扱う科目区分で、学部・学科を問わず履修できる位置づけです。
この人事は報道でも取り上げられ、2024年11月20日には読売新聞に副学長就任についての記事が掲載されました。土井氏はNHK「きょうの料理」やEテレ「スイッチインタビュー」、NHK「クローズアップ現代」、BS-TBS「関口宏のこの先どうなる!?」など多くの番組に出演しており、大学はその都度、公式サイトの報道関係ページで出演情報を発信しています。
取組に対するコメント
著名人を役職に迎える人事は珍しくありませんが、この事例で注目したいのは、肩書だけで終わらせていない点です。副学長という経営に近いポジションに置いたうえで、正課の科目を担当させ、公開講座のシリーズを持たせ、メディア出演のたびに大学名が出る導線をつくっています。人間生活学部が「食・栄養・運動・福祉」を掲げ、食品開発学科や食物栄養学科を抱えている大学にとって、食の分野でもっとも知名度の高い人物を迎えることは、教育内容と広報戦略の両方に直結します。
制度設計で注意が必要なのは、この種の人事を継続的な成果につなげることです。就任時の話題性は一過性で、翌年以降は「毎年何をするのか」を企画し続けなければ効果が薄れます。この大学の場合、公開講座のシリーズ化、総合科目での毎年度の開講、メディア出演情報の定期発信という3つの回路を用意することで、単発で終わらせない仕組みをつくっています。逆に言えば、広報課と社会連携推進課、教務課がそれぞれ継続的に稼働することが前提の施策です。
担当部署の視点では、こうした著名教員が関わる企画の裏方業務を想像しておくとよいと思います。公開講座の会場設営と申込管理、メディア対応の窓口、出演番組の確認と掲載許諾、肖像や氏名の使用ルールの整理、受講者アンケートの集計といった作業が発生します。触れるなら、「有名な先生がいる」ではなく、「特別招聘教授から副学長へという段階を踏み、正課と公開講座の両方に組み込んでいる設計」に注目していると話せると、広報施策の構造まで読めていることが伝わります。
(4)短期大学開学60周年・大学開学30周年記念事業として1号棟をリニューアル(総務部・施設課)
- 実施部局:総務部・施設課
- 発信日:2026年4月9日
- 出典:十文字学園女子大学 公式サイト
取組の概要
2026年4月9日、埼玉新聞に「十文字学園女子大学短期大学開学60周年 大学開学30周年記念教育整備事業 1号棟リニューアルセレモニー」の記事が掲載されたことが、大学の報道関係ページで公表されました。十文字学園女子短期大学の開学は1966(昭和41)年、十文字学園女子大学の開学は1996(平成8)年で、2026年は短期大学開学から60年、大学開学から30年という節目にあたります。
整備の中身は、2025年度決算の説明に記載されています。記念事業の一環として1号棟Aのリニューアルを実施し、社会連携センター「ここプラス」の開設とあわせて、学生の憩いと交流の場となるスペースを整備しました。あわせて情報基盤機器、AV設備、実験・実習用機器などの整備を進め、教育研究環境と学生生活環境の充実を図ったとしています。
学校法人十文字学園の2025年度決算は、資金収支合計13,324百万円、事業活動収入合計5,795百万円、事業活動支出合計6,186百万円でした。事業活動収支差額比率はマイナス6.8%、人件費比率64.4%、教育研究経費比率32.3%、管理経費比率6.8%、教育活動収支差額比率はマイナス3.9%となっています。前年度(2024年度)の事業活動収支差額比率はマイナス0.6%、人件費比率65.6%でした。
取組に対するコメント
周年記念事業としての施設整備は多くの大学が行いますが、この事例で読み取るべきは、財務状況との関係だと思います。2025年度は事業活動収支差額比率がマイナス6.8%、人件費比率が64.4%です。人件費比率が60%を超える状態が続いており、学生生徒等納付金収入も2023年度の5,245百万円から2025年度の4,108百万円へと減少しています。そのなかで周年事業としての施設投資を実施したという判断です。
実務上の難しさは、この投資を「支出」ではなく「募集への投資」として説明しきれるかどうかにあります。1号棟Aは学生募集課が入る建物でもあり、受験生が最初に足を踏み入れる場所です。オープンキャンパスの動線上にある建物を先に改修するのは合理的ですが、投資効果は志願者数という形でしか検証できません。定員充足率が6割台で推移している状況では、整備の順序と規模について学内で意見が分かれることも想像されます。企画IR課が入学者数や志願者数のデータでどこまで裏づけを示せるかが、こうした意思決定の質を左右します。
事務組織には、施設課の仕事が「建物を直すこと」ではなく「限られた資金をどこに配分するか」であることを理解しておきたいところです。キャンパスが1か所しかない大学では、新設ではなく既存建物の用途転換で対応するしかありません。教室を潰して交流スペースにすれば、その分だけ授業を入れられる部屋が減ります。施設について語るなら、面積と用途のトレードオフに触れられると、単なる感想ではない話になると思います。
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この記事では、十文字学園女子大学に関するニュースを全部で30件取り上げ、それぞれに取組の概要と、採用する側の視点からのコメントを付けています。ここから先には、残る26件を掲載しています。
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