香川大学の職員採用試験に向けて、大学の特徴と近年の取組を公式資料から整理します。2026年9月22日までに確認した20件のニュースを5章にまとめ、事実を説明する概要と、大学運営の視点からのコメントを分けて掲載しています。
目次
香川大学はどのような大学か
地域の知の拠点として歩む国立大学
香川大学は、教育、法、経済、医、創造工、農の分野を持つ国立大学です。旧香川大学は1949年に発足し、2003年に旧香川医科大学と統合して現在につながる大学となりました。2004年には国立大学法人香川大学が発足しています。
理念では、世界水準の教育研究を通じて、創造性と豊かな人間性を持つ専門職業人・研究者を育て、地域社会をリードし共生社会へ貢献することを掲げています。地域に根ざすことと世界へ開くことを、教育・研究の両面から結び付ける大学です。
学部と大学院の広がり
教育学部には学校教育教員養成課程、法学部には法学科、経済学部には経済学科があります。医学部は医学科・看護学科・臨床心理学科、創造工学部は創造工学科、農学部は応用生物科学科で構成されています。法学部と経済学部には夜間主コースもあります。
現在の大学院案内には、創発科学研究科、医学系研究科、農学研究科、教育学研究科、地域マネジメント研究科が掲載されています。創発科学研究科は従来の専門を横断する学びを担い、教育学と地域マネジメントには専門職大学院があります。また、愛媛大学大学院連合農学研究科に構成大学として参加しています。
受験生に向けて打ち出しているもの
大学紹介では、専門の学びに加えて、課題を見つけ、新しい価値を生み出す力を育てることを示しています。その柱となるDRI教育は、デザイン思考、リスクマネジメント、インフォマティクスを組み合わせる学士課程教育です。
地域の人の困り事を知り、解決案を考え、リスクを検討し、情報やデータを使って確かめるという学び方につながります。学部の枠を越えて参加するネクストプログラムや地域での学生プロジェクトも、専門を社会で生かす経験として紹介されています。
学生生活と将来の選択を支える
幸町キャンパスには、学習ラウンジやグローバルカフェ、図書館、博物館、学生支援センター、保健管理センターなどがあります。授業外に学び、相談し、多様な人と交流する場も大学生活を支える要素です。
キャリア教育は初年次から始まり、ライフデザインの学び、インターンシップ、専門のキャリアアドバイザーによる相談、ガイダンスやセミナーなどを組み合わせています。進路を就職先の決定だけで捉えず、自分の将来と社会との関係を考える支援を掲げています。
高松市と三木町に広がるキャンパス
主なキャンパスは、幸町、林町、三木町医学部、三木町農学部の四つです。幸町では教育・法・経済を中心とする学びに加え、創造工学部の造形・メディアデザインコースなども活動しています。林町は工学分野の教育研究拠点です。
三木町には、医学部・大学病院のキャンパスと農学部のキャンパスが別々にあります。複数拠点の専門性を生かす一方、学生が必要な支援へつながるよう、学内の連携を整えることも運営上のテーマになります。
地域の未来と卒業後のつながり
香川大学ビジョンは、持続可能な地方分散型社会へ貢献する人材育成と研究の推進を大きな方向に据えています。異分野の知を組み合わせる研究、地域資源の探究、世界とのつながりを通じて、地域の課題から新しい価値を生むことを目指しています。
校友会は卒業生・修了生だけでなく、在学生、現職・退職教職員も含む全学的なつながりです。学生生活、課外活動、海外留学、就職活動への支援やホームカミングデーなどを展開し、卒業後も大学と関わる基盤をつくっています。
大学紹介の出典:理念・目標 / 大学の沿革 / 大学概要2026–2027・学部研究科(PDF) / 受験生向けキャンパスガイド / DRI教育とは / キャリア支援センター / アクセス・学内マップ / 香川大学ビジョン / 校友会
大学の基本情報
大学概要
| 正式名称・設置者 | 香川大学/国立大学法人香川大学 |
|---|---|
| 沿革 | 1949年に旧香川大学発足。2003年に旧香川医科大学と統合。2004年に国立大学法人化。 |
| 学部 | 教育学部、法学部、経済学部、医学部、創造工学部、農学部。 |
| 大学院の現行案内 | 創発科学、医学系、農学、教育学、地域マネジメントの各研究科。愛媛大学大学院連合農学研究科にも参加。 |
| 学部学生数 | 5,645人(2026年5月1日。昼間・夜間主を含む、大学院を除く) |
| 学部入学定員 | 1,236人(2026年度、昼間・夜間主の合計) |
| 学部収容定員 | 5,168人(2026年5月1日、昼間・夜間主の合計) |
在籍者と当該年度の入学者は異なります。組織案内は現行の学部・研究科紹介に基づき、学生数資料に残る改組前の研究科の在籍とは区別しています。
出典:大学概要2026–2027データ(冊子28・31頁、PDF2・5頁)、沿革、学部・研究科(PDF)
主なキャンパス
| 名称 | 所在地・主な教育研究組織 |
|---|---|
| 幸町キャンパス | 香川県高松市幸町1番1号。教育・法・経済学部、創造工学部造形・メディアデザインコース、創発科学・地域マネジメント研究科など。 |
| 林町キャンパス | 香川県高松市林町2217-20。創造工学部、創発科学研究科など工学分野の教育研究拠点。 |
| 三木町医学部キャンパス | 香川県木田郡三木町池戸1750-1。医学部、医学系研究科、医学部附属病院など。 |
| 三木町農学部キャンパス | 香川県木田郡三木町池戸2393。農学部、農学研究科など。 |
学部・研究科の全活動を一つの所在地に限定した表ではありません。林町の現行研究科は2026–2027大学概要でも照合しました。
出典:幸町、林町、医学部、農学部、大学概要キャンパス情報(PDF)
直近3年の学部入学状況
| 年度 | 入学定員 | 入学者数 | 入学定員充足率 |
|---|---|---|---|
| 2024年度 | 1,239人 | 1,280人 | 103.3% |
| 2025年度 | 1,236人 | 1,273人 | 103.0% |
| 2026年度 | 1,236人 | 1,276人 | 103.2% |
各年度5月1日現在の公式「入学状況」の学部合計を使用。昼間・夜間主を含み、大学院を除きます。充足率は入学者数÷入学定員×100を小数第1位に丸めました。私費外国人留学生等の内数を合計へ重ねて加えていません。
出典:2024年度入学状況(冊子31頁、PDF5頁)、2025年度入学状況(冊子31頁、PDF5頁)、2026年度入学状況(冊子31頁、PDF5頁)
この記事の構成
本記事では、2025年8月から2026年9月に発信された20件のニュースを、次の5章・各4件にまとめています。
第1章「教育と大学運営の基盤を更新する」4件、第2章「地域の知と人材を結ぶ共創」4件、第3章「研究成果を社会へつなぐ」4件、第4章「地域の安全と医療を支える実践」4件、第5章「国際交流と多文化共生を進める」4件です。
各ニュースは実施部局、発信日、出典に続き、「取組の概要」3段落と「取組に対するコメント」2段落で説明します。概要は公式発表の事実を、コメントは取組の注目点、実務上の難しさ、大学職員としての関わり方を整理しています。最初の4件は無料でお読みいただけます。
第1章 教育と大学運営の基盤を更新する
(1)2027年度以降の入学者を対象とする授業料改定を決定
- 実施部局:国立大学法人香川大学
- 発信日:2026年8月26日
- 出典:令和9(2027)年度以降の入学者の授業料改定について
取組の概要
香川大学は、関係者からの意見を踏まえ、2027年度以降の入学者に対する授業料改定を決定しました。物価上昇などによる財務上の厳しさを背景に、学びの質を維持し、教育環境を充実させるための改定と説明しています。
学士課程昼間コースは2027年度入学者から年額535,800円を642,960円へ、夜間主コースは267,900円を321,480円へ改定します。修士・博士前期・専門職学位課程は2028年度入学者から適用し、博士後期課程と医学系研究科博士課程は改定しません。在学生の授業料も据え置きます。
大学は、修学支援新制度の対象学生の負担が増えないよう改定額分の減免を行うことや、短期貸付金・教育ローン利子補給などの支援充実を示しました。編入学は学年進行に応じて適用し、入学料・検定料は据え置くなど、対象ごとの扱いを公表しています。
取組に対するコメント
授業料の変更を、教育環境への投資と学生の経済的支援を組み合わせた施策として読む必要があります。値上げの理由だけでなく、誰にいつ適用し、負担軽減をどう届けるかが制度の理解を左右します。
職員には、募集要項、学費請求、奨学金案内、在学生への説明の整合を保つ役割があります。課程や入学年度、編入学によって条件が異なるため、対象判定を正確に行い、受験生と保護者が早期に見通しを持てる案内を整えることが重要です。
(2)職員と学生によるシステム内製化をDXシンポジウムで共有
- 実施部局:DX推進研究センター・情報化推進統合拠点
- 発信日:2026年8月27日
- 出典:Kadai DXシンポジウム2026を開催しました ―システム内製化で変わる組織・変わらない組織―
取組の概要
香川大学は、7月31日に幸町キャンパスでKadai DXシンポジウム2026を開催したと報告しました。組織とシステム内製化の関係をテーマに、対面とオンラインを合わせて約350人が参加しました。
大学からは、非情報系職員とDXラボの学生スタッフによる業務システム開発や、2025年度からのAIエージェント開発を紹介しました。職員3人と学生3人が、名刺管理や生成AIを使った申請業務支援など計6件の事例を発表しました。
企業の講演とパネル討論では、現場の課題から始める業務設計や、人材と組織を継続的に育てることを議論しました。前日にはAIエージェントを扱う実習形式の企画、当日には開発事例のポスター発表も行っています。
取組に対するコメント
職員をシステムの利用者だけでなく、改善を考えて開発する担い手として位置付けている点が特徴です。学生と職員が協働することで、学内業務を学習と実践の場にする可能性も見えます。
内製化した仕組みを継続して使うには、担当者交代時の引継ぎ、保守、データの扱い、利用者からの改善要望を整理する必要があります。職員志望者は、特定のツールの知識に加え、業務の目的や利用者の困り事を聞いて形にする力との接点を考えたいところです。
(3)地域教員希望枠の学生を中心とする教育実践プログラムを計画
- 実施部局:教育学部
- 発信日:2026年9月15日
- 出典:文科省公募の「地域教員希望枠を活用した教員養成大学・学部の機能強化事業」採択を受け 香川大学が「地域教育実践プログラム」の活動を実施します
取組の概要
香川大学は、文部科学省の教員養成機能強化事業への採択を受け、「地域教育実践プログラム」の活動を実施すると発表しました。入学前から教員採用後までをつなぐ支援の下で、地域の課題に対応する教員養成を目指します。
地域教員希望枠で入学した学生を中心に、9月28日の和三盆体験と、10月初旬の丸亀市でのフィールドワークを計画しています。後者では、日本語指導や国際理解の取組、丸亀城の城壁修復などを学ぶ予定です。
大学は、地域への理解、課題の発見・解決、関係を築く力、主体的な指導力などの育成を狙いに挙げています。9月22日時点では活動前の案内であり、参加実績や教育効果を報告したものではありません。
取組に対するコメント
地域で教員になりたいという志望を、大学在学中の具体的な学びへつなげる仕組みです。学校内の授業だけでなく、地域の産業や文化、多様な背景を持つ児童生徒の状況を知る経験が含まれます。
職員は、教育委員会や訪問先との調整、学生の移動・参加管理、活動記録の整理などを支えられます。入試で受け入れた学生の学びを卒業後まで見通し、関係部署の情報をつなぐことが運営上の課題になります。
(4)学生主体の和cafeぐぅが20周年を迎え、地域との学びを振り返る
- 実施部局:学生による和cafeぐぅの活動・経済学部
- 発信日:2026年8月28日
- 出典:和cafeぐぅ 開店20周年記念スペシャルトーク
取組の概要
香川大学は、直島町で学生が主体となって運営する「和cafeぐぅ」の20周年を記念した対談を公開しました。活動する学生、直島町長、大学長が、継続を支えてきた条件と学生の成長を語っています。
対談では、地域住民や行政との交流、指導・管理体制、常設の活動拠点が継続の土台として示されました。学生は観光客の増加と島の日常生活の関係などを、現場で経験して考えていると説明しています。
飲食提供に加え、地域活動への参加や文化・宗教に応じた食事対応の引継ぎも紹介されています。学生の入れ替わりが続く中で、地域との信頼と運営経験を次の世代へ伝えてきた活動です。
取組に対するコメント
単発の実習ではなく、常設の場所で地域との関係を重ねることが学びを支えている点に注目できます。活動年数だけでなく、誰が引き継ぎ、誰が困ったときに支えるのかを読むと、教育の運営条件が見えてきます。
職員としては、活動資金、施設利用、事故や欠航時の連絡、教員・地域との窓口などを支える役割が考えられます。学生の自主性を尊重しつつ、地域に過度な負担をかけずに続けられる体制を整える視点が重要です。
第2章 地域の知と人材を結ぶ共創
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