はじめに
大学職員の採用試験を受けるうえでは、大学業界の動向を理解しておく必要がありますが、大学業界の動向を理解するためには、大学に関する様々なデータを確認し、何となくの傾向を知っておくことで、大学業界の理解を深めることができます。
大学に関するデータについては、文部科学省等の関係機関から多くのものが示されておりますが、その1つ1つを調べることは大変な手間と時間がかかります。
そこで、この記事では、大学業界の動向を把握することのできる基礎的な様々なデータを取り上げ、可能な限り過去からの推移を示すようにしています。
なお、データには最新のものと、公表時期が古いものが混在しています。古いデータについては、現在の実態を示すものとしてではなく、長期的な傾向や過去に指摘されてきた課題を確認するための資料として扱うようにしてください。
この記事で紹介しているデータ
この記事で紹介しているデータは次のとおりです。
1 18歳人口
(1)これまでの18歳人口の推移
(2)今後の18歳人口の将来推計
2 高等教育機関の学校数・入学定員
(1)大学数の推移
(2)短期大学数の推移
(3)大学・短期大学数の合計の推移
(4)専修学校数の推移
(5)大学の入学定員数の推移
(6)設置者別の大学数
3 高等教育機関への入学者数・進学率
(1)大学の入学者数・進学率の推移
(2)短期大学の入学者数・進学率の推移
(3)専修学校(専門課程)の入学者数・進学率の推移
4 私立大学の入学定員割れの状況
(1)定員割れ学校数と定員割れ率の推移
(2)入学定員充足率の分布
(3)学部系統別入学定員充足率
(4)学校規模別入学定員充足率
(5)地域別入学定員充足率
5 私立短期大学の入学定員割れの状況
(1)定員割れ学校数と定員割れ率の推移
(2)入学定員充足率の分布
(3)学科系統別入学定員充足率
(4)規模別入学定員充足率
(5)地域別入学定員充足率
6 グローバル化(国際化)の状況
(1)日本人学生の海外留学者数の推移
(2)日本人学生の主な海外留学先
(3)諸外国の海外留学者数との比較
(4)高等教育機関に在籍する外国人留学生数の推移
(5)外国人留学生の出身国・地域
(6)諸外国の大学(学士課程)における留学生の割合
(7)諸外国の修士課程における留学生の割合
(8)諸外国の博士課程における留学生の割合
(9)アジア主要大学の世界大学ランキングの推移
(10)日本人が海外留学をしていない理由
(11)外国人留学生の留学の目的
(12)外国人留学生が日本を留学先として選んだ理由
(13)外国人留学生の卒業後の進路希望
7 社会人の学び直し(リカレント教育)の状況
(1)諸外国の大学入学者に占める25歳以上の割合
(2)諸外国の修士課程入学者に占める30歳以上の割合
(3)諸外国の博士課程入学者に占める30歳以上の割合
(4)大学における社会人入学者数の推移
(5)大学院における社会人入学者数の推移
(6)短期大学における社会人入学者数の推移
(7)専門学校における社会人入学者数の推移
8 就職率等の状況や企業が大学に求めるもの
(1)大学等卒業者の就職率の推移
(2)企業の大学への期待と大学が教育面で特に注力している点のギャップ(文系)
(3)企業の大学への期待と大学が教育面で特に注力している点のギャップ(理系)
(4)ポストドクター等の数の推移
(5)企業が大学に期待する教育改革
(6)企業が大卒者に期待する資質
(7)採用選考で重視する学生の学修経験
(8)企業が大学・大学院に期待するもの(教育面)
(9)企業が大学・大学院教育に期待するもの(人格面)
(10)企業が大学・大学院教育に期待するもの(経験面)
9 受験生が大学選択をする際に重視する要因等
(1)進学先検討時の重視項目
(2)高校生が進路を決める際に重視すること
(3)大学選択で重視した点
(4)進学先検討時に調べたこと
(5)高校生が進路を考えるうえで相談する相手
(6)保護者の進学先検討の重視点
(7)志望校選びの際に重視するポイント(参考)
10 大学における寄附金の状況
(1)日米私立大学等の収入に占める寄附の割合
(2)国立大学等における寄附金受入額
(3)公立大学等における寄附金受入額
(4)私立大学等を設置する学校法人の寄附金受入額
(5)研究大学における寄附金受入額の国際比較
(6)年代別の寄附経験者割合
(7)大学の満足度と寄附経験の関係
(8)大学に対して満足しているもの
(9)大学への誇りと寄附経験の関係
(10)大学に誇りを持つために必要なもの
11 その他
(1)大学生の1週間あたりの学修時間(日米比較)
(2)障害のある学生数の推移
(3)女性研究者数と研究者全体に占める割合の推移
(4)諸外国の研究者に占める女性の割合
各種データの紹介
1 18歳人口
(1)これまでの18歳人口の推移

大学職員の採用試験を受けるうえでまず最初に知っておくべきデータは、「18歳人口」です。「18歳人口」については新聞やニュース等で聞いたことがあると思いますが、正確な数字を押さえておくことで、現状をしっかりと理解できるようになると思います。
「18歳人口」の直近のピークは、平成4年(1992年)の205万人となっていますが、その後、減少をし続け、令和7年(2025年)には110万人にまで減少をしています。平成4年(1992年)のピークと令和7年との差は約95万人となっており、規模はおよそ半分になっています。
なお、令和6年(2024年)の107万人から令和7年(2025年)には110万人へ一時的に増加していますが、これによって長期的な減少傾向が変わったわけではありません。単年の増減だけでなく、数十年単位の流れを見る必要があります。
また、18歳人口がそのまま大学の志願者数になるわけではありません。大学進学率、浪人・再受験、外国人留学生、社会人学生などの影響も受けます。18歳人口は大学市場を考えるための出発点であり、ほかのデータと組み合わせて読むことが重要です。
面接で少子化を語るときは、「18歳人口が減っている」だけで終わらせず、進学率や大学数、入学定員との関係まで説明できると、説得力が高まります。
(2)今後の18歳人口の将来推計

今後の18歳人口については、令和8年(2026年)の111万人を境に再び減少し、2034年には100万人、2035年には96万人となる見込みです。さらに、2040年には82万人まで減少すると推計されています。
令和7年(2025年)の110万人と2040年の82万人を比較すると、15年間で約28万人減少する計算になります。今後は、進学率が上昇したとしても、その上昇だけで18歳人口の減少を補うことは難しくなる可能性があります。
このように大学入学者の大部分を占める「18歳人口」が減少していくことにより、大学間の競争は厳しさを増し、魅力のない大学は募集停止へと追い込まれていくことになると考えられています。
なお、この推計は将来の出生数等を基にしたものであり、今後修正される可能性はあります。ただし、すでに出生している世代が中心であるため、少なくとも中長期的に大幅な減少が見込まれるという方向性は、大学経営を考えるうえで重要です。
このような状況から、現在、各大学は生き残りをかけて、学生サービスの向上、就職・キャリア支援の充実、教育の質の向上、グローバル化、社会貢献活動、多様な学生の受け入れ、寄附金獲得のための対応、大学の存在意義の発信などの様々な大学改革を行い、各大学の魅力を高める取組を進めています。
採用試験で「今後、大学が生き残るために必要なこと」を問われた場合は、短期的な広報施策と、中長期的な教育改革・学部再編・連携・対象層の多様化を分けて提案するとよいでしょう。また、推計値を断定的に扱わず、「現在の推計では」と前置きすることも、データを適切に扱う姿勢として重要です。
2 高等教育機関の学校数・入学定員
(1)大学数の推移

大学数は、平成3年(1991年)には514校、平成4年(1992年)には523校でしたが、その後、増加し続け、令和6年(2024年)には813校と過去最高の大学数となりました。令和7年(2025年)は812校で、前年度から1校減少しています。
「18歳人口」については平成4年(1992年)をピークに減少し続けていますが、大学数については平成4年と比べて約290校増えていることに注目する必要があります。学生となり得る人口が減る中で、大学の供給規模が高い水準にあることが、学生募集競争を厳しくする一因となっています。
一般的に「大学が多すぎる」と言われてからかなりの年月が経過しており、「いまだに大学は増えているのか」と驚いた方もいるかと思います。
しかし、大学数が増えてきた背景には、純粋な新設大学が増えたという事情もありますが、短期大学が4年制大学へ移行(短期大学が2年制の短期大学課程を廃止して4年制の大学に変更)したり、私立大学が公立大学化したりといった事情もあります。
また、「専門職大学」という通常の大学とは異なる新たな大学が設置できることになり、これまで専門学校として運営をしていた学校が、「専門職大学」の要件を整え、「専門学校」から「大学」に移行しているケースも出てきており、このことも大学数を増やしている1つの要因になっています。
なお、令和7年に大学数がわずかに減少したことだけで、大学数が本格的な減少局面に入ったと断定することはできません。ただし、募集停止や統合を公表する大学も見られるため、今後は学校数だけでなく、設置形態や定員の変化にも注目する必要があります。
(2)短期大学数の推移

短期大学数は、平成8年(1996年)の598校をピークに減少し続け、令和7年(2025年)には292校まで減少しています。平成8年(1996年)と令和7年(2025年)の学校数を比較すると、306校もの短期大学が減少し、ほぼ半数になったということになります。
大学は昭和23年(1948年)から近年まで増加し続けていたのに対し、短期大学は昭和25年(1950年)から平成8年(1996年)までは増加し続けていましたが、その後、減少していくことになりました。短期大学の4年制大学への転換や募集停止、統合なども、この減少に影響しています。
また、平成3年(1991年)から令和7年(2025年)の期間における大学と短期大学の増減を比較してみると、大学では298校増加しているのに対し、短期大学では300校減少しており、大学が増加した数と短期大学が減少した数がある程度同じ数になっていることがわかります。
短期大学は、地域の保育・教育、栄養、医療・福祉、ビジネスなどの人材育成を担ってきました。学校数の減少は、単に1つの学校種が縮小しているというだけでなく、地域の進学機会や人材供給にも影響する可能性があります。
短期大学を併設する学校法人を受験する場合は、現在の募集状況だけでなく、4年制大学への編入、資格取得、地域連携、社会人教育など、今後どのような役割を強化しようとしているかを確認する必要があります。
(3)大学・短期大学の合計数の推移

上記で大学と短期大学数の推移を紹介しましたので、大学と短期大学を合計した学校数の推移も見てみたいと思います。
平成3年(1991年)以降は大学の数が一気に増え、短期大学がそこまで減っていなかったため、大学と短期大学の合計数のピークは、平成13年(2001年)の1,228校となっています。
その後、大学は増えているものの増える学校数が減少し、短期大学については逆に一気に減少することになり、令和7年(2025年)は1,104校となっています。平成3年(1991年)は1,106校でしたので、大学と短期大学を合わせた学校数は、約30年前と同程度に戻っているということになります。
ただし、「合計数がほぼ同じ」であっても、内訳は大きく変化しています。平成3年には大学514校、短期大学592校でしたが、令和7年には大学812校、短期大学292校となり、4年制大学への比重が大きく高まっています。
また、ピーク時の平成13年(2001年)と令和7年(2025年)を比較すると、124校減少しておりますので、この点を見ると大学・短大業界が厳しくなっていることがわかると思います。
大学業界の構造変化を理解するには、合計数だけでなく、学校種別の内訳、入学定員、入学者数を併せて確認する必要があります。
(4)専修学校数の推移

次に、同じ高等教育機関である専修学校の数値についても確認しておきたいと思います。
専修学校の目的は、学校教育法において、「職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図ること」とされており、大学や短期大学の設置趣旨とは異なりますが、大学・短期大学と重なる分野の学校があったり、4年制の専修学校も増加してきているので、大学や短期大学と競合する場合もあります。
専修学校数は、平成3年(1991年)以降は学校数が増加していましたが、平成10年(1998年)の3,573校をピークにして学校数が減少することになり、令和7年(2025年)には2,975校まで減少しています。ピークである平成10年(1998年)と令和7年(2025年)を比較すると、598校が減少していることになります。
学校数が減少傾向にあるというのは短期大学とかなり共通する部分がありますが、学校数自体は大学よりもはるかに多く、職業に直結した学びを求める層にとって重要な進学先であり続けています。
大学側には、専門学校と同じ内容を提供するのではなく、学位教育、理論と実践の統合、幅広い教養、研究との接続など、自らの価値を明確にすることが求められます。一方で、大学と専修学校が高大接続、編入学、地域人材育成等で連携する可能性もあり、競合だけでなく連携の視点も必要です。
(5)大学の入学定員数の推移

学校数と併せて確認しておきたいのが、大学の入学定員数の推移です。
大学の入学定員は、平成3年(1991年)の約45万人から増加し、令和6年(2024年)・令和7年(2025年)は約63万5千人となっています。約30年間で18万5千人程度増えたことになります。
大学数だけでなく、入学定員も増えてきたことが重要です。18歳人口が大幅に減少する中で、受入れ可能な定員が増えたため、需要と供給のバランスは厳しくなっています。
一方で、定員は大学ごと、学部ごと、地域ごとに異なり、すべての大学が同じ状況にあるわけではありません。定員を満たしている大学がある一方、定員を大きく下回る大学もあります。
今後は、大学全体の定員規模だけでなく、成長分野への定員移動、学部再編、地域の高等教育へのアクセス確保などを含め、どこにどの程度の教育機会を配置するかが課題になります。
少子化対策を論じるときに、大学数だけでなく「入学定員がどのように推移したか」も示すことができると、需要と供給の構造をより正確に説明することができます。
(6)設置者別の大学数

設置者別の大学数については、令和7年度(2025年度)の大学812校の内訳は、国立大学が85校、公立大学が103校、私立大学が624校となっており、私立大学が全体の約76.8%を占めている状況になります。
このため、大学数や定員割れに関する業界全体の動向を考える際には、私立大学の状況が大きな比重を持つことになります。私立大学は学生納付金への依存度が比較的高いため、学生募集や定員管理は経営に直結しやすい課題です。
近年の動向としては、私立大学から公立大学に設置者を変更する動きが増えてきております。公立大学のみに着目すると、平成20年(2008年)には75校だったところ、令和7年(2025年)には103校まで増加しております。
一方、国立大学、公立大学、私立大学では、設置目的、財源、意思決定の仕組み、地域との関係などが異なります。例えば、公立大学には地域の人材育成や進学機会の確保という役割が強く求められる場合があります。
大学職員の採用試験では、大学業界全体の一般論を述べるだけでなく、志望大学の設置者に応じて課題や役割を整理する必要があります。
3 高等教育機関への入学者数・進学率
(1)大学の入学者数・進学率の推移

このデータは、学校基本調査結果で示されているデータであり、入学者には「高等学校または中等教育学校卒業後1年以上経過した後に入学した者(過年度高卒者)」も含まれているので、単純なその年の高卒者に対する入学者数・進学率ではないので、その点に注意をする必要があります。
大学の入学者数及び進学率は、平成4年(1992年)の約54万人(進学率26.4%)から増加し続け、令和7年(2025年)には約65万人(進学率58.6%)まで増加しています。
「1 18歳人口の推移」で示されているとおり、18歳人口については平成4年(1992年)をピークに減少し続けていますが、大学への進学率が上昇したことにより、これまでの大学の入学者数は増加傾向にあったということがわかります。
ただし、進学率は無限に上昇するものではありません。今後、18歳人口の減少が続く中で入学者数を維持するためには、進学率の上昇だけに頼ることは難しくなります。
「18歳人口が減っているのに大学入学者数はなぜ増えてきたのか」と問われたら、まず進学率の上昇を説明したうえで、今後の対策として、志願者獲得だけでなく、社会人・留学生の受入れ、修学継続支援、教育価値の向上を挙げると、人口動態を踏まえた回答になります。
(2)短期大学の入学者数・進学率の推移

このデータは、学校基本調査結果で示されているデータであり、入学者には「高等学校または中等教育学校卒業後1年以上経過した後に入学した者(過年度高卒者)」も含まれているので、単純なその年の高卒者に対する入学者数・進学率ではないので、その点に注意をする必要があります。
短期大学の入学者数及び進学率は、1990年代前半の約25万人(進学率約13%)をピークに減少し続け、令和7年(2025年)には約3万人(進学率2.7%)にまで減少してきています。
入学者数については、ピーク時と令和7年(2025年)を比較すると、8分の1程度にまで減少したことになり、学校数の減少以上に、短期大学を選ぶ学生の規模が縮小していることがわかります。
背景には、4年制大学への進学率の上昇、職業教育の選択肢の多様化、資格・職種を取り巻く環境の変化など、複数の要因があると考えられます。短期大学の価値を、単に「2年間で卒業できる」という点だけで説明することは難しくなっています。
短期大学には、地域に必要な専門職人材の育成、少人数教育、資格取得、4年制大学への編入、社会人の学び直しなど、強みを明確にした教育設計が求められます。
(3)専修学校(専門課程)の入学者数・進学率の推移

このデータは、学校基本調査結果で示されているデータであり、入学者には「高等学校または中等教育学校卒業後1年以上経過した後に入学した者(過年度高卒者)」も含まれているので、単純なその年の高卒者に対する入学者数・進学率ではないので、その点に注意をする必要があります。
専修学校の専門課程への入学者数は、平成4年(1992年)の約36万人(進学率約18%)から長期的には減少しており、令和7年(2025年)には約25万人となっています。一方で、進学率は約18%から23.1%へ上昇しています。
入学者数自体は減少していますが、18歳人口も減っているため、進学先として専門課程を選ぶ割合は1990年代より高くなっています。大学・短期大学とは異なり、近年も一定の選択割合を維持していることが特徴です。
「2(4) 専修学校数の推移」で示されているとおり、専修学校の学校数については平成10年(1998年)以降減少し続けているにもかかわらず、進学率については上昇しているという点は押さえておきたいところです。
大学の競合分析では、同じ偏差値帯の大学だけでなく、専門学校や就職を選ぶ層も含めて考えると、受験生の意思決定をより現実的に捉えられます。
4 私立大学の入学定員割れの状況
(1)定員割れ学校数と定員割れ率の推移

このデータは、日本私立学校振興・共済事業団が行った「私立大学・短期大学等入学志願動向」結果のデータとなっており、調査の対象が私立大学のみで国公立大学は対象となっていないことに注意する必要があります。
新聞やニュース等でも大学の「定員割れ」について取り上げられることも多いですが、その多くはこのデータに基づいて報道されることが多いです。
その際に、「私立大学」のみのデータであることをしっかりと理解していないと、誤った認識をもってしまうことになるので、どんなデータに基づいているかということはすごく重要になります。
私立大学の定員割れ学校数及び定員割れ率は、平成11年(1999年)の89校(定員割れ率19.8%)から急激に増加しており、平成17年(2005年)には160校(定員割れ率29.5%)まで増加しています。
その後、平成18年(2006年)の221校(40.2%)から再び増加が始まり、平成20年(2008年)には266校(47.1%)となり、その後は盛り返す場面もありました。
しかし、令和3年(2021年)以降は再び定員割れ大学が増え、令和6年度(2024年度)には354校(定員割れ率59.2%)と、これまでで最も厳しい水準となりました。令和7年度(2025年度)は316校(定員割れ率53.2%)に改善しましたが、依然として私立大学の半数以上が定員割れとなっています。
令和7年度の改善には、18歳人口が前年の107万人から110万人へ一時的に増えたことなどが影響した可能性があります。今後18歳人口は再び減少する見込みであり、1年間の改善だけで構造的な課題が解消したとは言えません。
また、定員割れは直ちに経営危機を意味するものではありません。充足率が100%にわずかに届かない大学と、大幅に下回る大学では状況が異なります。財務基盤、退学率、学部別の状況、今後の定員変更なども併せて判断する必要があります。
(2)入学定員充足率の分布

令和7年度(2025年度)の集計では、入学定員充足率が100%以上の私立大学は278校、100%未満の大学は316校となっています。
まず、定員割れの状況が比較的軽いと思われる入学定員に対する入学者の割合が90%台の大学は91校、80%台の大学は84校という状況になっています。
次に、定員割れの状況が深刻と思われる70%台の大学が45校、60%台の大学が50校、50%台の大学が17校とあり、定員充足率が50%台から70%台の大学は112校あるという状況です。
最後に定員割れの状況がかなり深刻と思われる50%未満の大学についても29校あるという状況です。70%台以下の大学は141校あり、そのうち70%未満は96校となっています。
このように、定員割れといっても定員充足率90%台で、うまく学生を集めることができればすぐにでも定員割れから抜け出せる大学がある一方で、定員充足率70%台以下の抜本的な対策を講じないと場合によっては募集停止にまで追い込まれる危険性のある大学まで幅広くあるという状況です。
なお、この集計の対象校数は、学校基本調査における私立大学の総数とは一致しません。募集を行っていない大学等があるため、資料ごとの調査対象を確認する必要があります。
(3)学部系統別入学定員充足率

令和7年度(2025年度)の学部系統別の入学定員充足率を確認すると、最も低いのは「家政学」の85.57%で、次いで「歯学」が86.66%、「薬学」が91.50%、「保健系」が94.40%、「教育学」が95.25%と、この5系統が100%を下回っています。
一方、入学定員充足率の高い系統としては、「芸術系」が106.14%、「社会科学系」が105.56%、「農学系」が103.95%、「理・工学系」が102.31%、「人文科学系」が101.78%、「医学」が101.72%、「体育学」が100.92%と100%を超えている状況にあります。
この結果から、一般に「文系は厳しい」「理系なら安泰」と単純化できないことがわかります。同じ系統でも、大学のブランド、立地、資格、就職実績、教育内容、定員規模によって状況は大きく異なります。
また、系統全体の充足率が100%を超えていても、その系統に属するすべての大学・学部が定員を満たしているわけではありません。集計値はあくまで傾向を確認するために使用する必要があります。
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